自閉スペクトラム症にまつわるエトセトラ

自閉スペクトラム症(ASD)についての障害特性や支援に関する情報を発信していきます

頭の中で時間配分できますか?

 

前回の記事では、構造化について触れました。

 

構造化というのは、3つに分けられるというのを把握してください。

 

物理的構造化

時間の構造化

活動の構造化

 

というのがあります。

 

その中で時間の構造化というものについて見ていきます。

自閉スペクトラム症の障害特性の一つとして、「時間の整理統合の特性」というものがあります。

例えば、我々は仕事が休みの日になると、「休みだから少し遅めの9時に起きて、午前中はジムに行って汗を流して、お昼は駅前の美味しいパスタを食べて、午後は本を買いに行く。ついでに洗剤も買って、夜は家でカレーを作って食べようかな」

 

といったように、何時から何時までこれをして、この行動はこのくらい掛かるから、この用事だけ済まして、、など、頭の中で、時間を分割し考えること。これが、時間の整理統合といいますが、

自閉スペクトラム症のお子さんは、これが苦手な人がいます。

 

そのため、時間の構造化を図るというのは、つまり、今何をすべきなのか?終わったら次は何をするのか?を視覚的に説明することなのです。

この説明するためのツールをスケジュールといいます。

一番分かりやすい時間の構造化は、学校の時間割です。1時間目は国語で、2時間目は体育で、、、

 

私の事業所でも、スケジュールという形で、一人ひとり個別のスケジュール表を提示しています。

 

スケジュールがあることで、事業所内で何をするのか、一目ですぐに分かります。

自閉スペクトラム症の人にとって、「なんでもしていいよ」という時間は苦痛でしかないのです。

「なんでも」といっても、じゃあ、何をすればいいのか、行動に移せることはできないのです。

 

逆にスケジュールという形で、何をすればいいのか提示されていることで、それが安心につながります。

我々が仕事で手帳を使うように、月のカレンダーを壁に貼っているように、自閉スペクトラムの人にとっても、毎日のスケジュール表というのは必要不可欠のものです。

 

よく、スケジュールを提示して、何ヶ月か経ち、

「やること分かったからスケジュールなくていいよね」

といった理由で、途中でスケジュールのない状態で生活をしていたという事例を聞いた時があります。

 

その子はその後どうなったでしょうか?

いつ、どこで、何をするのか?分からない状態から、他害行動等が多く発生するようになりました。

回避的な行動の機能が影響し、そうなったと思われます。

 

スケジュールも立派な構造化です。そして1つ1つの活動内容を表すスケジュールカードはどのようにするかは、その子次第です。

イラストが合ってるのか、写真がいいのか、具体物がいいのか、みんな同じスケジュールではありません。特性がそれぞれありますので、違って当たり前です。これが、TEACCHの原理の1つである、個別化を図るというのはこういうことです。

 

ご家庭でスケジュールを作るというのは、少し難しいかもしれませんが、例えば、たくさんの段がある棚を1つ準備し、上から下へ休みの日に過ごす内容の具体物を棚に入れてみるのも良いでしょう。

 

こういったことから始めることで、よくとも悪くとも行動の変化が現れるはずです。良いところはさらに伸ばしていき、悪いところは再構造化です。それの繰り返しだと思います。

 

スケジュールは支援の基本となり、軸となります。この軸がしっかりすることで、支援の質はさらに向上するとおもいます。

 

スケジュール1つでも、たくさんのアイディアがあります。お困りでしたらコメントを頂ければと思います。