困った行動に対しては機能を分析してみましょう
ASDの人は、様々な行動を起こします。
良い行動をすれば、悪い行動もします。
しかし、その悪い行動というのは、本当に悪い行動なのでしょうか?ASDのお子さん本人が悪いことだと思って起こしている行動なのでしょうか?
応用行動分析のなかで、
ABC行動分析モデルというのがあります。
これは、ある行動に対して、その行動の機能をアセスメントするために、前後の行動を記録することです。
そして、行動の機能については、次のように大別されています。
好子の獲得(感覚的、物、リアクション)
注目の獲得
逃避・回避
※書籍によって表現が異なりますが、だいたい言っていることは同じです。
これら行動の機能を頭に入れとけば、支援する側の考え方やスタンスも変わるでしょう
何か例をあげます
例えば、小学校の特別支援学級で過ごすASDのお子さん(太郎くん)は、休み時間に遊ぶことなく、水道の水を入れ思いっきり出して、床をビショビショにさせます。周りの一般の子どもたちが、それを見て様々な反応をしています。また、先生にも思いっきり怒られます。しかし太郎くんは、ニヤニヤとしながら、次の休み時間でも同じ行動を見せています。
さて、太郎くんは、なぜこのような行動をしたのでしょうか?
行動の前後における周囲の環境を整理していきます。
行動前→休み時間、ほかに遊ぶものがあるであろうに遊ばず
行動→水道を出す
行動後→他の子どもが自分を見る、反応する。先生に怒られる。床が濡れる
この行動の機能をどのように見るのか、皆さん次第ではあります。大事なのは、その子の特性を見据えて、今後の対応方法も考えることです。
もしかしたら、周りや先生からの注目を獲得したいという機能で行動を起こしたのかもしれません。
それならその考えでもいいとおもいます。では、注目の獲得という行動の機能だったとします。
そうしたら、次の休み時間はどうすれば良いのでしょうか?
後日記事にしますが、行動を無視するというのは、望ましくありません。
例えば、その行動に対して、代わりの望ましい行動を教えることも必要でしょう。
太郎くんの行動が注目の獲得の機能であるとするならば、休み時間に何か役割を与えて、その行動が終わったら先生に褒めてもらえるという場面を設定するのも方法です。
水を出していたなら、もしかしたら、水に触り水の感覚を得たいという機能も合わせて考え、雑巾で所定の箇所を拭くという役割を与えるという考えもあります。
不思議なものですが、水を一気に出す行動は怒られ、雑巾で水拭きする行動は褒められる。定型発達の人はそれが理解できますが、ASDの人はそういった理解よりは、自分が今何をしたいのか、というのが優先となり、行動を起こしてしまうものです。
困った行動というのは、たくさんあるとおもいますが、怒りたくなる気持ちは重々承知ではありますが、まずはこのような行動の機能を探るという観点を持つことで、ASDのお子さんも支援者本人も気持ちが変わるとおもいます。