自閉スペクトラム症にまつわるエトセトラ

自閉スペクトラム症(ASD)についての障害特性や支援に関する情報を発信していきます

声掛けばかりの支援になってませんか?

 

私は放課後等デイサービスで働いていますが、日々支援をする上で注意していることがあります。

 

それは、声掛けだけの支援、声掛けだけで完結しないようにすることです。

 

 

家庭でも、ASDのお子さんと接するときに、声掛けというのはついついやってしまいますよね?

 

しかし、ASDの人は、言語指示に対して理解が困難です。そして、耳から入る情報よりは、目で見る情報の方がキャッチしやすいのです。

つまり、声掛けをしたところで、その場で理解したとしても、時間が経つとまた同じことを繰り返すなどとなってしまいます。

 

これは障害特性の1.受容コミュニケーションの特性の部分が影響していますね。

 

 

たしかに、声掛けというのは、楽ですし、ついついやってしまうのは理解できます。

 

では、どうすれば良いのか?

 

お子さんのその行動によって支援の方法は異なりますが、

 

例えば、家の中で、事業所の中で、学校の中で走るという行動が見られた時。

 

構造化のアイディアや対応の一例をあげます。

・見えるところに、「廊下は歩きましょう」とポスターを貼る

・いつも走る場所の途中に、パーティションを置き、走りたくても走りにくい環境にする(物理的構造化)

・「この区間を歩いたらポイントをあげます。」など、一定の箇所で望ましい行動をしたら賞賛をする場面を設定する(トークンシステムの活用、交渉)

 

 

そして重要なのが、そもそも走るという行動の機能が何なのかを知る必要があります。例えば

・走ることで、親や支援者に怒られる。見てもらえる。つまり、注目を獲得するための行動の機能であれば

→代替えの望ましい行動を教える。そして、その行動をしたら、注目してもらえるというのを教えてあげる。

 

・何か活動していて、ストレスを感じ、その場から離れたいという、逃避の機能であれば

→その活動は何か、提供をやめる。望ましい逃避の仕方を教えてあげる。(クッションに顔をうずめて叫ぶ、カームダウンエリアを設けるなど)

 

・欲しいものがあった。しかし、それをうまく伝えることができない。(好子獲得の機能)

→望ましい要求を教える。

 

 

といったように、走る行動1つとっても、機能は様々であり、その先の対応方法は様々ということです。

 

 

まず、声掛けではなく、視覚的な支援を優先に考えていきましょう。