自閉スペクトラム症にまつわるエトセトラ

自閉スペクトラム症(ASD)についての障害特性や支援に関する情報を発信していきます

受容コミュニケーションの特性

 

先ほどの記事では、受容コミュニケーションの特性について触れようと思いましたが、いつのまにか、ずれてしまいました。

 

 

受容コミュニケーションとは、相手からの情報をどのようにキャッチするのか、ということです。

 

ASDの人は視覚的な情報をキャッチしやすいのですが、

そのなかでも、具体的にどのような情報がいいのか?

それをアセスメントする必要があるのです。

 

視覚で示す情報には、文字、イラスト、写真、具体物などがあります。

そのお子さんに人によって、どの情報が得意か異なります。

例えば、歯磨きを示す視覚的な指示があり、最初は「はみがきするよ」といった文字で情報を伝えるとします。しかし、それが伝わっていないようです。

次に、ネットでフリー素材としてあるような、かわいい男の子が歯磨きをしているイラストがあるとします。

f:id:aroeasd:20190919120514j:image

 

しかし、この指示では「歯磨きをするんだな」と関連づけることが難しいお子さんもいます。これも特性の中の1つですよね。

 

では次に、実際に歯磨きで使う歯ブラシとコップを写真にとり、それをラミネートしてカード化し、指示を出したとします。

しかし、写真の情報よりもラミネートの素材に注目してしまい、ずっとその触り心地を楽しむようにしていたとします(感覚の特異性)

 

それでは指示が全く入ってませんね。

 

では、実際に使っている歯磨きとコップを見るとします。これが具体物による情報提示の仕方です。

 

 

私が支援するなかで、時間を構造化するために、スケジュール表を必ず提示します。

f:id:aroeasd:20190919121750j:image※ネットから

 

そして、スケジュールカード1つ作るのに本人さんの特性を見極めて、文字にするのか?イラストにするのか?写真にするのか?具体物にするのか?を考えます。

この特性が受容コミュニケーションの特性であり、情報のキャッチの仕方となります。

 

上記の話では、視覚情報となりましたが、

私の事業所では、ある程度言葉を話し、支援者へ色々と話をしてくるお子さんがいます。

そして、そういったお子さんには、ホワイトボードを併用しながら私も話掛けています。

 

しかし、私が話をするなかで、受容コミュニケーションの特性が影響しているな、ということが多々あります。例えば、今日学校で何の授業をしたのか?昨日の晩ゴハンは何を食べたのか?

そのような質問をしても、全然答えられません。何の?という部分が抽象的であったりするからです。

 

例えば、「あなたが欲しいと思っている〇〇の本はあの店にないよ」といった場合には、もう、その店にはないから、つまりどこにも売っていないんだ。

といったように、こちらが意とする話とは異なり、独特に情報をキャッチしてしまいますし、字義どおりにそのままに解釈をしてしまうのです。

 

そのような特性が見られるお子さんには、いくら言葉で話ができるといっても、せいぜい、単発で分かりやすく、を心掛けましょう。

プラスして、文字情報やイラストなども活用しましょう。

ちなみにそのお子さんは、イラストを使って情報を伝えようとすると、「恥ずかしい」「いやだ」と言いながら、回避をしようとします。

ゆえに、文字情報を中心となり伝えています。

 

こういった本人さんのどんな情報が得意なのか?を知ることで、どのようにその子に伝えればいいのか?

が分かってくると思います。