自閉スペクトラム症にまつわるエトセトラ

自閉スペクトラム症(ASD)についての障害特性や支援に関する情報を発信していきます

好子の獲得

 

好子という言葉があります。

 

これは、行動のすぐ後に提示することによって、その行動が起こりやすくなる物を指します。

例えば、部屋の掃除をして、好きなお菓子がもらえるという設定にしたら、次は積極的に部屋の掃除をするようになっていくでしょう。

 

しかし、お腹がいっぱいの時は、お菓子は食べられるでしょうか?

好子は、食べ物だけではありません。物や人とのアクションなど、子どもによって好子となり得るものは様々です。

 

支援をする上で、まずはその子の好子を見つけることが大事です。それにより、もうちょっと頑張ってほしいことや、身につけられそうなスキルや動作を学習してほしいときには、ぜひとも、好子を獲得できる状況を設定してみてください。

 

好子には、どのようなものがあるでしょうか?

私が勤務している事業所のお子さんは、基本的にはお菓子類を設定しています。たしかに、お腹がいっぱいの時は意味のないものとなりますが、トークンシステムを用いているため、すぐには好子は獲得しません。トークンシステムについては、後日、別記事で。

 

他には、自分で決めたモノ。例えば、ゲームの雑誌や漫画本なども好子に設定しているお子さんもいます。あとは、〇〇分ラジオを聴く、Youtubeを見るなんてのもいいでしょう。

 

実は好子をお菓子に設定することが多いのは理由があります。それは、お菓子は「なくなったら終わり」が分かりやすいのです。ちなみにお菓子は一口系のお菓子が多いですが。

自閉スペクトラム症のお子さんには、抽象的な指示や自体には分かりにくさがあります。つまりは中途半端な指示や適当、あいまいな表現のことがよろしくないということなのですが、

好子を獲得してもらう際は「どこまで」が好子なのかも具体的にすべきです。先ほどのお菓子であれば「なくなったら」という目で見て分かりやすい終わりの合図となりますが、例えば「散歩」を好子として設定するならば、どこまで好子として設定した散歩の時間にするのか。

散歩が終わっても日常生活では歩くという動作がありますよね?これももしかしたら、本人にとっては好子となり得る可能性もあります。

なので、散歩を好子として設定するならば、例えば、〇〇の陸上競技場の周りにあるランニングコースを10分間歩くという風にして具体的にする必要があります。

 

好子の設定というのは、支援をする上で非常に大事です。

では聞きます。その子の好子は何ですか?