自閉スペクトラム症にまつわるエトセトラ

自閉スペクトラム症(ASD)についての障害特性や支援に関する情報を発信していきます

特定の同級生と競うこだわりのケース②

 

あろえです。

 

前回の記事の続きです。

 

https://www.aroeasd.work/entry/2019/09/21/213432

 

こちらが前回の記事です。

 

 

その中で導き出された内容は

 

同級生は、娘さんのことは何も気にしていません。

しかし、相手の気持ちや状況を理解することが苦手なので、同級生の子が全然気にせず、帰り支度をしているという状況の理解が困難です。

 

そして関わり方の苦手さも見え隠れしています。

どのように関わればいいのか分からず「競う」のです。一見、「競う」という見方でありますが、本人さんにとっては、「関わり」なのです。

 

その「関わり」に対して強く注意が向いてしまっているため、「イスをしまう」という本来の工程を忘れてしまい、結果、全然注意が向いていなかった「イスをしまっていない」ということに対して、突然教師に指摘され、それを失敗体験として捉えて泣いてしまった。

 

でした。

 

それでは、本人さんがこのような特性が影響し、行動をしていると仮定した場合、どのような対応や構造化のアイディアが考えられるでしょうか?

 

といっても、ここからはその場での調整となるため、できない可能性もあります。しかし、その場の環境を用いて最大限の工夫をすることが大事だと思います。

 

 

 

まず、物理的構造化を考えていきましょう。

ASDのお子さんは、目で見て理解することが得意です。目で見た情報をそのまま捉え、影響されます。

逆に、見えない部分を予想して考えることに苦手さがあると思います。

娘さんもそのような傾向がありますでしょうか?

 

まずは、娘さんと同級生の間は視覚的に情報を遮断する必要があります。パーティションっと言いたいところですが、学校でのパーティション設置については、学校により色々ありますので簡単にはいえませんが、

 

なので、席替えを検討してみるのはどうでしょうか?

配置としては、娘さんが前側、同級生の子が後ろ側。その間には他のクラスメイトが座っており、一見、見にくい位置になっているという状態です。

 

 

 

次に

授業中も気になり、集中できていないということでした。1日を通して継続的に、同級生の子に注目がいっている様子ですね。

 

 

「同級生ばっかり見ないで集中しなさい!」

というスタンスの支援よりは、

 

「あなたは、授業中はこれに集中しましょう」

というスタンスでの支援が必要となります。

 

授業の内容や理解度はどうでしょうか?

娘さんはついていけてますか?

 

また、ASDのお子さんは、先の見通しが分かりにくいと不安になります。授業では何と何と何をして、いつ終わりなのか?終わったら何をするのか?具体的に娘さんの理解度に合せて示していますか?

 

この部分については、先生の領域ですので、大きく触れませんが、授業自体を分かりやすく構造化し、見通しを持つことで、不安感は減る可能性はあると思います。

 

 

 

次に、

その同級生を良くも悪くも手立てとしており、帰り支度についても、その同級生の子の行動が指示となって、娘さんも片付けをしています。

 

しかし、その場合は教師に注意されるなど、結果的に失敗体験となる可能性が高いです。

そのため、活動の構造化を図ることも必要だと思います。

活動の構造化というのは、

例えば、帰り支度する際は、ランドセルに「教科書」「プリント」「筆箱」を入れるというのをひらがなでも、カードタイプでも、何でもいいので、目で見て分かるようにして、入れる順番と入れたらどうするのか?「席に座って前向いて待つ」のように具体的に活動の工程を示すということです。

 

これをアクティビティシステムといいますが、これを用いることで、自分が何をするのか、自分で気づき、自発的な行動へとつながります。

 

よく、「こんなもので子どもを動かして」という批判的な意見もあるようですが、

 

逆にこれがあることで、本人さんたちが望ましい行動へと結びつく手立てとなりますし、障害特性を把握していれば、なおさら、こういったツールが絶対的な価値あるものとして理解することができます。

 

 

最後に、

今この記事を見ている最中も、娘さんはその同級生のお子さんを、継続して同様に注目していますか?

 

そうであれば、本人さんは物事の切り替えに困難さがあると思います。

 

こういった場合は、

言い換えると、興味のあることは長く継続して注目することができる

という強みとして考えることができます。

 

この強みもしっかりと支援に生かしていくことも必要だと思います。

 

 

長くなりましたが、できるところから、1つずつ試してみるのが良いと思います。

そして、決して問題行動が無くなるというよりは、

問題行動が減少するという考え方で支援をしていくことで、お子さんもお母さんも先生も楽になると思います。