自閉スペクトラム症にまつわるエトセトラ

自閉スペクトラム症(ASD)についての障害特性や支援に関する情報を発信していきます

「炊飯器の中のご飯を全てよそって食べてしまう」という行動について考える

 

 

こんにちは、あろえです。

 

今回の記事はフォロワーさんのツイート、リプの内容から、ASDの方の行動について考えていきたいと思います。

 

 

今回は へびいちごさん のツイートになります。

 

事前に承諾は得ていますが、不都合な点などがあればお知らせください。すぐに訂正します。

 

このブログの内容については、へびいちごさんのツイートに向けた返信をする目的となりますが、私の経験や知識をもとに書いておりますので、有益な情報になると思いますのでぜひ最後まで読んでいただければ幸いです。よろしくお願いします。

 

 

では、内容に入ります。

 

へびいちごさんの息子さんは、重度知的障害自閉症の強度行動障害、ということです。

 

その中で、困っている行動があるということなので、ツイートを引用させていただきます。

 

 

 

 

 

 

色々と行動が見られているようですが、今回は、炊飯器にご飯をよそうという行動をメインに考えていきたいと思います。

 

 

まず、デイ(放課後等デイサービスでよろしいでしょうか?)で帰ってきてからすぐに行動が発生しているという点です。

 

帰宅時間は、夕方5時半〜6時半と、確かに一般的にお腹の空く時間帯ですが、お腹が空いたからという行動とは異なります。

ASDの方は、障害特性の傾向が強いと、「喉が乾く」「お腹が空く」「トイレにいきたい」といった、目に見えない感覚的なものを感じて行動に移すというのは難しいです。

 

帰るご飯をよそうという行動が続いているようなので、一つの考えとしては、「時間の整理統合」が困難であるということが考えられます。

 

時間の整理統合とは、物事の順番に優先順位をつけて頭の中で行動の順序を決めて、実際に行動するということです。

 

本人さんは、時間の整理統合が苦手であるため、帰ってきてから、何をすればいいのか分からないという状態になっているのです。

 

では、家の中での行動には、色々とあるのに、なぜ、「ご飯をよそう」という行動をとっているのか?

 

もしかして、過去にお母様の促しなどで、ご飯をよそうという経験を本人さんにしてもらったことはあるのではないでしょうか?

ASDの方は、実際に経験してきたことが、物事の経験値として蓄積されます。

その経験が優先され、優先順位をつけるのが難しいため、最初にとる行動として発展したという考えもできるかもしれません。

 

時間の整理統合が苦手なお子さんの特徴としては、物事の変更に対してうまく対処できないというのもあります。

 

お母様から見て、本人さんが不適応な行動を起こした場合、おそらくそれを止めようとしますが、本人さんの思う行動をしないと、次へ進めないという状態が続いていると思います。

 

つまりは、本人さんにとっては、周囲から言われた、促されるという行動は、一つの変更事項であり、本人さんはそれに対処できないために、結果として周囲から「こだわりの行動」として捉えられてしまうかもしれません。

 

 

あとは、日常生活で、いつもと異なる状態や、学校行事に対処ができない、季節の境目で先生や環境が変わることに対しても何かしらの困難さがあるのかなと考えます。

 

 

次に、本人さんの考えられる障害特性としては、長期記憶の特性の部分になります。

 

これは、その名の通り、長期的な記憶が優れているということです。

いうなれば、良いことも悪いことも全て長期的に記憶しているということです。

 

この特性が強い方は、「いつも同じが得意」なのです。

 

他のツイートで、「食べ終わると食器を必ず片付ける」と書いてありました。

 

このような行動は見過ごせませんね。一度経験し、そして継続することが得意なので、その波にうまくはまったのが、食器の片づけとなります。

このような特性を持つ方というのは、1番初めが肝心です。

 

最初に正しい方法を学習してもらえば、以降は望ましい行動を継続する可能性が高まります。逆を言えば、最初に適当に教えてしまうと、間違ったことを継続してしまいます。

 

 

 

ここからは、実際の対処方法もプラスして考えていきたいと思います。

 

では、おうちに帰ってからすぐに炊飯器のご飯を全てよそってしまうという、行動を起こした場合に、どのようにすれば良いのか?

 

 

色々な視点で考えて見ましょう。

 

<見通しを持ってもらう>

時間の整理統合の話をしました。

物事を頭の中で順序立てるのが難しいということです。このような特性を軸に考えるのであれば、スケジュールを導入しましょう。

 

スケジュールというと、難しいかもしれませんが、言い方を変えれば、「このあと、あなたはこのように過ごしましょうね」というのを、見てわかるようにすれば良いのです。

 

まずは、紙と鉛筆で「トイレおふろごはんへやであそぶねる」みたいに、順番を書いてみるのもいいかもしれません。

 

例えば、時間がわかるのであれば、「夜7時にご飯を食べます」といったような指示を紙に書いてみるのもいいかもしれません。

 

あとは、キッチンタイマーを使って、「タイマーがなったらご飯だよ」というのを教えてあげるのもいいかもしれません。

 

慣れてきたら、行動の内容をカード化させ、ネットを駆使してイラストとかを使ってもいいかもしれませんが、まずは身近な道具で始めれば良いと思います。

 

見通しを持つというのは非常に大事です。こういったスケジュールがあることで、安心材料となり、不適応行動が減る可能性は十分に考えられます。

 

 

 

 

<物理的構造化>

物理的な環境を変化させて、正しい行動へと導いていくということです。

 

家の中の環境を変えて見ましょう。ということです。

 

例えば、ご飯を全てよそうという行動を止めても、止めることができず、どうしても、その行動をしないと次へ進まないという場合には、

 

事前に、家族分のご飯を炊いておき、ご飯1人分を炊飯器に残して、残りは別のところに保管してしておきましょう。

おそらく、本人さんは、「炊飯器入っているご飯全てをよそう」というのが行動パターンとなっているので、そのご飯の中身は関係ないかもしれません。「ご飯をなくすまでよそう」という行動だと思いますので、炊飯器の中の量を減らすというのは一つの方法であるかなと思います。

 

 

 

<行動をリセットする>

長期記憶の特性が強い方は、いつも同じが得意ですが、何かしらの変化が加わることで、行動がリセットされる可能性があります。

 

人によっては、色が変わっただけ、方向が変わっただけで、今まで見せていた行動を見せなくなる時があります。

 

一つ注意しておきたいのが、行動を見せなくなった=今後その行動はしない。 

というわけではなく、「注意が別の方に向いた」という考えの方が正しいです。

 

ある行動が見られなくなったとしても、根本的には無くなったわけではありません。別のことに注意が向いているだけなので、また、何かしらのきっかけがあれば、再度行動する可能性だってあります。

 

 

話を戻し、何かしらの変化を加えるというのは、例えば、

 

入り口を変えてみる。

炊飯器自体を変える。

炊飯器の位置を変える。

自宅の玄関や部屋の模様替え、色を極端に変えてみる。

 

などです。

 

そして、仮に行動がリセットされた場合、次に大事なのは、新しく望ましい行動を教えるということです。

 

例えば、

帰ったらすぐにお風呂に入る

帰ったら手を洗う

帰ったらカバンをどこどこの場所へ下ろす

 

こういったことを教えてあげる必要があります。

 

そして教え方というのもあります。

 

例えば、

カバン(ランドセル?)のイラストが書いてある大きめのカゴが玄関にあれば、カバンを置く自然な指示になるかもしれません。

その横にハンドタオルが置いてあって、それを持って洗面所に行って手を洗うという指示ときっかけを作れます。

さらには、洗面所に行けば、すぐ横にはお風呂セットが準備されていて、お風呂が入れる体制にしておけば、流れで3つの行動ができるようになるかもしれません。

 

これは例ですが、細かいところでも物理的な環境を調整してあげることで、生活の質が上がる可能性だってあります。

 

 

長くなりましたので、ここで終了させていただきます。

 

お母様、さらに詳しく解説が必要でしたら、お知らせください。

ピンポイントに行かないと、話が広がってしまうので、、、、、

 

まだまだ書き足りないので、もしかしたら追加で書くかもしれません。

 

今回は以上です