自閉スペクトラム症にまつわるエトセトラ

自閉スペクトラム症(ASD)についての障害特性や支援に関する情報を発信していきます

外出活動の考え、アイディア

 

私が勤めている事業所では、土曜日や長期休みに利用する際の午後に、外出し体を動かす機会を設けています。

 

予想ではありますが、他の事業所さんでは、外出の活動は、かなり充実した内容になっているのではないでしょうか?

 

私の事業所では、正直言って、田舎ですので行くところも限られていますし、公園もそこまで豪華ではありません。少し遠出しないとブランコもありません。

 

しかし、外出の内容は乏しくても、外出の活動に対する考えやアイディア、目的はしっかりと設定し、意味のある内容になっていると思います。

 

 

まず、外出をして、ジュースを買って、公衆トイレに行って、事業所へ戻る。という流れで外出をする場合、まず初めに、その流れを本人さんたちに伝えていますか?ただ単に連れて行くというのは、障害の程度に関わらず、支援とは言えません。

 

まずは、外出用のスケジュール表を準備しましょう。本人さんたちに合わせて、いつ、どこで、何をするのか?

 

文字、イラストなど、本人さんたちの特性に合わせて提示をしましょう。

また、事業所と同様の仕組み、イラストで変更事項を説明できるように準備をしてください。

 

この外出用のスケジュール表があることで、スタートラインに立ったと言えます。

 

次に内容です。

外出先はどこでしょうか?

私の場合、夏場は公園に行きますが、冬場はウォーキングが多くなります。つまり、歩くということです。

 

お子さんによっては、歩くという動作に対して物足りなさを感じるお子さんもいるかもしれませんし、歩くこと自体を拒否するお子さんもいます。

 

その際に必要な考え方として、「歩くのが嫌いだから」というのは、少しもったいないと思います。

 

それよりは、「目的が分からないのかも」という考え方の方が良い時があります。

 

例えば、歩く動作だけでは物足りないというのであれば、歩くスタート地点とゴール地点に小さいボールを置き、それを往復しながらひとつずつ集めて、全て集めたら好子が獲得できるといった仕組みを作れば、いつ、どこで、何をして、終わると、どうなる。というのが明確になり、意欲的にウォーキングに取り組めるかもしれません。

 

例えば、歩くことに拒否をしているのであれば、いつまでウォーキングをすればいいのか伝えるために、タイマーを提示するのもいいかもしれません。

そして、タイマーがなったら車に戻って、歩けたご褒美に好子が獲得できる。その一連の流れを手順書として、提示するのも方法でしょう。

 

今のは一例となりますが、目的と終わったらどうするのか?一連の流れを明確に伝えることが重要です。伝え方も日々のインフォーマルなアセスメントの結果を通して、興味のあるイラストや注目できるツールを用いて、事前に準備し臨む必要があります。

 

ウォーキングについては以上です。

 

続いて、公園での活動です。

 

公園に行き、子供たちが遊び、そして職員は何をしていますか?

 

怪我をしないように見守る。一緒に遊ぶ。それも重要です。では、さらに重要なことは何でしょうか?

 

本人の特性をアセスメントし、特性に合わせた望ましい遊び方を教えること、

だと思います。

 

 

例えば、公園遊びの中で、一番顕著に見られるASDの障害特性は、社会性・対人関係の特性です。

 

 

公園に滑り台があるとします。

基本的に1人ずつしか滑ることができません。

そのため、順番というのが発生します。

社会性・対人関係の特性で色濃く見られるお子さんで、1番になりたい!という思いが強く出ることがあります。そして、お友達とさまざまな言い合いになるかもしれません。

 

これは、順番に並ぶという見えない社会ルールの理解や、周囲の状況を見て自身の立ち位置を把握するというのが困難なために、このような行動が見られる特性であります。

 

コラ、順番を守りなさい!

なんて言っても、理解が困難かもしれません。

 

そういったことが把握できたら、次にどう対処していくのか、順番を守ることを教えるのか、常にその子が1番に滑ることができる環境を設定するのか、など。方向性を決めます。

 

例えば、順番を教えるのであれば、滑り台に子どもが並んだら、前から順番に「1、2、3...」の数字を書かれたカードを手渡すことで、今自分が何番目なのか把握できます。先頭の子が滑る前に後ろの子どもに自分のカードを渡す。もらった子どもは自分のカードを後ろへ渡す。それを繰り返す事で、「あとどれくらい」というのが分かりやすくなります。

こういった仕組みが確立されれば、公園の滑り台は一つの学習場所となりますね。

 

 

こういった形で、ただ単に外出をするよりは、子どもも職員も目的を持つことで、より一層、外出活動の内容が充実してくるのではないでしょうか。

 

今回は一例です。皆さんのアイディアを教えてください。では