自閉スペクトラム症にまつわるエトセトラ

自閉スペクトラム症(ASD)についての障害特性や支援に関する情報を発信していきます

自傷行為について考える

 

あろえです

 

今回は自傷行為について考えていきたいと思います

ASDのお子さんで自傷行為するお子さんはたくさんいらっしゃいます。そして、様々な行動をみせています

 

爪を噛んだり、かさぶたを剥がしたり、頭を叩いたり、頬を叩いたりなど、、、

 

そうした行動に対してどのように止めさせようかと、日々悩んでいる方はたくさんいると思います。

 

今回は、この自傷行為について、支援者としてどのようにアプローチをしていけばいいのか、私なりの考えを含めて、専門的な知見で述べていきたいと思います。

 

 

まず初めに、自傷行為に対して、皆さんはどのように考え、どう対処していきたいですか?

ほとんどの方は、自分を傷付けるのは見ていられない。すぐにでもやめてほしい。と、思うのではないでしょうか。

 

そして次に考えるのは、どうすれば自傷行為をやめるのかということです。

そして自傷行為をやめさせるために、「やめなさい」と叱りつけたり、行動を制止することでしょう。

 

 

こういった対応は、特に保護者さんならば、当たり前に取る行動だと思います。

しかし、それでは何の解決にもなりません。むしろ、さらに状況は悪化しているのではないでしょうか?

 

 

ではどうすればよいか?

先に結論を述べます。

 

①自傷行為をした要因を探る

②代替行動を教える

 

大きく、この2点を考えれば良いと思います。

 

 

では①の自傷行為をした要因を探るについて考えていきます。

 

本人さんの自傷行為について、ABC分析で考えてみてみましょう。

ABC分析とは、応用行動分析学における考え方の一つであり、ある行動を起点に、その前後の出来事を具体的にし、本人さんの行動の機能を探るということです。

 

例として、自分の頭を叩くという自傷行為があったとします。その行動の直前に何かの作業をやっていたとして、結果的に支援員に「落ち着きなさい!」と手を止められて、作業が中止したとします。

このような場合、頭を叩いた行動により、結果として、作業が中止になったので、作業に対する回避の機能というのも1つ考えることができますし、他者に対する注目の獲得を得られたという機能も考えられます。

 

このように直前の行動をまずは考えることで、意図をつかめるかもしれません。

 

 

次に②代替行動を教える。というのは、代わりの望ましい行動を教えるということです。

先ほどの例では、頭を叩くという、一般的によろしくない行動をしているから、怒られたり注意されたりという結果となるのです。

では、自分の頭を叩く代わりに、パンチングマシン(2000円ぐらいで売ってる赤と黒の棒状のやつ)を叩くという行動になるならどうでしょうか?

 

おそらく、周囲から何かしらの注意などはなくなると思います。

このように、叩くという行動についても、対象物、場所などを具体的にしてあげて、それを本人さんへ事前に説明し、自分ではない、代わりを教えてあげるというアプローチも必要であると考えます。

 

 

今回は一例ではありますが、この考え方をベースに、また、行動をなくすというよりは、行動を減らしていく。転換していく。という考え方を持つことで、支援者側もそして本人さんも楽になっていくのではないでしょうか?

 

行動には、必ず原因があります。

1つ1つ丁寧に支援し、長期的な目線で考えていきましょう。