注意の仕方を意識するだけでも行動は変化する
家庭や学校、福祉事業所の中で、子どもに注意する場面というのはあると思います。
例えば、教室に置いてあった教師用のオフィスチェアがあったとします。
休み時間に、そのオフィスチェアに子どもが乗って滑りながら遊んでいました。
そのような行動は当然望ましくありません。
他の子どもたちを怪我させる可能性もありますし、そもそも教師用なので、子どもが使用してはいけません。
そういった場面で、あなただったら何て注意をしますか?
「こら!イスに乗るんじゃない!今すぐやめなさい!」
そのような言葉は、応用行動分析学の観点から見れば、ナンセンスです。逆に今すぐそのような注意の仕方はやめましょう。
では、具体的にどのような注意をしていけばいいのか?
まず、先ほどの注意の仕方はどのような言葉を使っていますか?
全て否定形ですよね。
つまり、禁止を伝えているだけでは、子どもの望ましい行動を自発するのは難しくなります。
そして、禁止を伝えても、
「じゃあ、どうすればいいのか?」
が、全く伝わらないのです。伝え方が具体的ではないからです。
こういった考え方というのは、ASDの方だけと思われるかもしれませんが、定型発達の方にも対象となるというのを頭に入れといてください。
では、禁止を伝えてはいけないなら、どうすればよいか?
そう、具体的な行動を伝えていけば良いのです。
例えば、先ほどの例であれば、
「休み時間は外で遊びましょう。」(これでも具体的ではないので)
「この休み時間は、校庭でクラスの◯◯くんと一緒に鬼ごっこをしましょう」
といったように、
いつ、どこで、だれと、なにをする
というのを意識して説明しましょう。
こういった注意の仕方を意識するだけでも、少しは変化すると思いますので、是非とも試してみてください。
しかし、今回の記事は、これだけではありません。
上記の場面の例に対して、さらにアプローチできることがあります。
まず、オフィスチェアで子どもが遊んでいましたが、子どもの気持ちを考えれば、ゴーカートのように扱えるタイヤの乗り物に乗るのは楽しいものです。
それを常時置いてあり、遊んではいけないというのは、目の前にご飯があるのに食べるなといっているのと同じではないか。と、個人的には考えます。
であれば、オフィスチェアでなくて、普通の動かないイスに変えれば済む話です。
これは、構造化の考えでもあります。
「してはいけない」という前に、しないようにするための環境を整えるのも大切です。
注意の仕方も変えて、イスも変えたら、次のアプローチはなんでしょうか?
それは、具体的な遊び方を教えることです。
ASDの方で、一定の時間をうまくやりくりして活動することが苦手な方がいます。つまりは、「好きに遊んでいいよ」と言われるのが、一番の苦痛なのです。
好きに、と言われても、どのように遊べばいいのか、自分の頭の中で計画することが難しいので、
結果として、問題行動に発展してしまうのです。
だから、「好きに遊ぶ」のではなく、「◯◯して遊ぶ」という伝え方をすることで、逆に安心をします。
そういった考えをベースに、「休み時間は◯◯で遊びましょう」と伝えて、必要に応じて、遊び方も具体的に教えてあげることで、一つの支援として完結すると思います。
以上になります。今回は応用行動分析学に基づく考えでした。