自閉スペクトラム症にまつわるエトセトラ

自閉スペクトラム症(ASD)についての障害特性や支援に関する情報を発信していきます

特別支援学級の在り方を考える時があります

 

私は学校の教員ではありませんが、色々あって学校の教員の勤務体系をある程度知っており、そして大変さを知っています。

 

学校の教員と一口にいっても、小学校、中学校、その他もろもろの教員がいます。

その中で、特別支援学級というクラスがあり、そこで指導している教諭がいますよね。

 

 

ここでは、通常の小学校、または中学校に在籍しながらも、特別な支援を要するお子さんを別教室で指導するところであります。

 

特支の学級に在籍しているお子さんは、ADHDや情緒的に不安定など、何かしらの支援が必要なお子さんです。

 

しかし、そうはいっても普通学校の一部であるため、定型発達の方が学ぶ一般の教育課程も意識された教育というのも受ける機会があるとおもいます。

 

また保護者さんのニーズに応じて、通常学級の一部の授業に参加するなど、集団での活動に入るといったことがあるとおもいます。

 

例えば、この記事で話している舞台が中学校だとします。

普通学校の中学生の皆さんはどういう時期でしょうか?

中学生という大人になるための準備の段階であるため、将来に向けて勉強やスポーツなど頑張っていることでしょう。

 

その中に特別支援学級に在籍しているお子さんが1人いたとします。

 

ここから、現実的で残酷なことを書きますが、その特支の学級に在籍しているお子さんは、普通の高校に受験をして受かることは可能なのか?

その子の障害の程度にもよりますが、その子が今学ぶべきことは国語や算数などの受験に受かるための勉強なのか?その前に、友人とのトラブルやコミュニケーションの難しさ、社会的なルールが読めないといった、日常生活を過ごす上で、支障はあるだろうか?まずはそういった、身近な課題を解決するのが先決ではないか?

 

では、特別支援学級の教諭というのは、どうあるべきなのか?

高校に進学させたいのか?トラブルないように中学校を卒業させるのか?少しでも社会生活に役立つような勉強を教えていくのか?

 

そんなことよりも、まず本人さんの特性は何か?何が得意で何が苦手か?

友人とのトラブルがあるとするならば、将来を見据えて、コミュニケーションの苦手さに着目して、じゃあどうすれば、どのような配慮があることで、本人は社会生活を過ごすことができるのか?

そういったことを構築していくべきではないか?

 

そんなことを考えてしまう時があります。

 

特別支援学級で支援が難しいからといって、じゃあ、特別支援学校に編入させようというケースに関わったことがありますが、私は、特別支援学級という所はとても貴重な場だと思っています。

特別支援学校というのは、同じく配慮が必要なお子さんが集まりクラスが構成されている場であります。

特別支援学校と特別支援学級の違いは何でしょうか?

 

それは、他者の反応が異なるということです。

他者というのは、クラスメイトというのも一つ含まれています。

例えば、特別支援学級のお子さんが、何か社会的に望ましくない行動を取ったとしたら、同学年の普通学校の中学生はどのような反応をとるでしょうか?

優しく気を使って相手をする優秀な生徒さんもいるかもしれませんが、「キモい」といった反応や無視されるといった状況になると思います。

それが周囲の反応であり、社会生活でも同様の反応となるわけです。

 

しかし、こういった反応があるからこそ、本人もそれに対して何かしらの行動が発生するということなのです。この周囲と本人のそれぞれの反応があって、じゃあ特別支援学級の教諭はどうしていくのかを考えるべきであり、それを解決、工夫をすることで、その子のためになるということです。

つまり、本人の望ましくない行動と周囲の一般的な反応が得られるというのが、いわば、特別支援学級の強みの一つではないでしょうか?

 

もちろん勉強も大事ですが、まずは将来を見据えて何が大事なのかというのを考えなければいけません。

 

 

っということで、上記の内容は特別支援学級を例とした内容でした。もちろん、その子の障害特性に応じて、特別支援学校に行くべきですし、また、発達検査の結果内容によって専門家によるアドバイスというのがあるとおもいます。

個人的には発達検査による、いわばフォーマルなアセスメントよりも、日常の観察で見られるインフォーマルなアセスメントが基板になるのかなとおもいます。

 

特別支援学級は教育と福祉が混合された現場であり、そこで活躍している教諭というのは、保護者や同僚教諭からの様々な圧力があるかもしれません。

しかし、もっと先を見据えて、本人さんは今何を学ぶべきなのか、どういう配慮が必要なのか、という正当な理由と障害に対する知識を武器にすることで、より良い支援につながるのかなと思います。