自閉スペクトラム症にまつわるエトセトラ

自閉スペクトラム症(ASD)についての障害特性や支援に関する情報を発信していきます

3月31日は大忙し

 

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331日の大変さ

 

こんにちは、あろえです。

 

コロナ等で色々忙しく短編になります

 

 

放課後等デイサービスの331日というのはとても大変であります

 

 

理由としては新年度の準備がたくさんだからです。

 

大きな準備というのは、41日から受け入れる新規利用児童さんの準備です。

 

新しく事業所に来ますので、支援の準備をしなければいけません

 

どこで過ごすか、どのツールを使うのか、どのようなシナリオで過ごすのか

 

もう大変です。

 

そしてもう一つ。

 

331日に、高校生を卒業するため退所をする利用児童さんも存在し、退所した分の入れ替わりとして4月から新しく入ってくるのです。

 

つまりは、今まで使っていた高校生の方のスペースを取り払い、そして新しい利用児童さんのスペースを確保する。

 

まあ、大仕事です。

 

 

 

しかし、こういった入念な準備があって初めて、質の高い支援というのは成立するのです。

 

準備はとても大切ですね。大変だけど。

ASDの育児の方が、定型発達児の育児よりも大変?

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こんにちは、あろえです。

 

Twitterを徘徊しますと、日々ASDの子の育児をしている保護者さんのツイートで

 

「普通の子だったら、どれだけ育児が楽なのか、、、」

 

みたいなツイートを見かけます

 

 

しかし、果たしてASDの子の育児は大変で、定型発達の育児の方が楽なのでしょうか?

 

 

この疑問については、賛否両論もあり、育児環境やお子さんの状態により大きく異なりますので、はっきりとした結論は出すことはできませんが、

 

ASDの育児で大変な思いをしている保護者さんに、少しでも役立てればと思っています

 

 

 

では、ASDのお子さんを育てている、保護者さんは、日々どのようなことに悩んでいますか?

 

よく挙げられるワードは、癇癪です

 

そして癇癪はどのような場面でおきますでしょうか

 

場合によっては、よく原因がわからないでいきなり癇癪を起こした

 

そういったことがあると思います。

 

 

 

このような、よく分からない場面での困り事というのが、ASDのお子さんを育てる上での困難さ、大変さの一つに値するのかなと思います。

 

 

そして、保護者さんとしては原因も分からないという状態なので、どう手をつければいいのか、どうアプローチをしていけばいいのか分からないという状態です

 

 

癇癪、癇癪ひとつとっても色々な行動がありますね。

 

思いきり暴れる、泣く、物を投げる、他害等といったところでしょうか

 

 

怪我や場合によっては命の危険にもつながることもあり、早くどうにかしなければ。

という焦りの気持ちもあったり、他の人の視線、評判、家族からの言葉など、

 

癇癪から派生する二次的な大変さというのも発生します。

 

 

 

では、変わりまして、

定型発達の育児や教育を考えていきましょう。

 

一つ気付いて欲しいのが、

 

 

先ほど、ASDの方では、育児。とだけ書きました

 

しかし、定型発達の方では、育児にプラスして、教育というのも書きました

 

 

その先の教育、就職、マナー、礼儀、社会生活全般に関わるあらゆることを教えていき、最終的には本人自身がどのように豊かに生きていくのかを見届けるという親の役目として、重大な責任があるのです。

 

 

だからといって、ASDは育児だけ、といっているのではありません。まず考えなければいけないのは、ASDの子が、今、しっかりと生きていくためにはどのように「サポートしていけばいいのか」という、目線になるわけです。

 

もちろん、ASDの子への教育というのも重要ではありますが、ASDの障害特性によりますが、一般的な教育にプラスして、生活のしやすさにフォーカスをした知識や経験というのを学習してもらうことが最優先であるといえます。

 

 

 

育児から子育てという枠に入った時、ASDの子で困り感として出てくるのが、癇癪等の問題行動が主であると思います

 

一方で定型発達の場合は、友達との関わりやケンカ、不適切な発言、登校拒否といったことなどが問題として出てくると思います(他にも色々ありますが)

 

 

大別すると、ASDの問題は、実際に見える「行動」

そして、定型発達は、目には見えない「行動」。つまりは、発言や心理状態などです。

 

 

この2つの問題に差し迫った時、それぞれのメリットデメリットというのがありますが、

分かりやすいという点ではどちらになりますでしょうか?

 

 

もしかして、多くの人が実際に目で見た行動の方が、問題行動として認識するならばあきらかに分かりますし、保護者としてアプローチした結果、どのように変わっていくのかが分かりやすいのは、実際の行動だと思います。

 

 

心を読むというのは、分かりづらいですよね。なんせ、目で見えない物です。つまりヒントが少ないわけです。

例えば、小学校を登校拒否になった場合、なぜ登校拒否になったのかを考えると思います。そして要因というのは色々とあります。

学校でいじめられたとか、先生が嫌いだから、気分で行きたくない、もしかして複合的に要因が重なっているとか、そうなれば、いよいよ分かりません。

 

 

 

今回の記事は、定型発達とASDと比較するような形になっていますが、どちらも大変さはありますし、どちらが大変かは結論なんてでません。

 

今の時代、心理学や応用行動分析学といった学問があることにより、問題の解決への糸口は見つけやすくなっていますが、それでも知識にプラスして経験が必要となってきます。

 

 

保護者さんの知識と経験そして子どもに捧げる愛情の掛け算で、その子は少しでも幸せになっていくと願います。

 

以上です。よろしければコメントください

 

 

 

 

 

 

 

絵画鑑賞の論文から見るASDの視点と特性について

 

 

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目次

 

論文の内容について

まず初めに、皆さんはこの絵を見て、どの部分に注目しどのような印象を受けますでしょうか?

 

今回はこの絵画について、ASDの傾向の強弱による違いについての論文を解説していきたいと思います。

 

今回は、2017年の美術科教育学会誌で掲載されていた、東京大学と女子美術大学の研究論文をもとに記事を書いています。

 

 

論文のタイトルは、「自閉症スペクトラム傾向が絵画鑑賞における視点や印象に与える影響」ということで、学術論文でしたので、データを元にかなり難しい内容でしたが、皆さんに分かりやすいように、また、ASDの障害特性を紐付けて重要な点をピックアップしていきます。

 

この論文の目的としては、ASDの傾向の強さが、絵画の鑑賞に影響を与えるかどうかの検証でした。

 

その検証のため、神奈川県の中学生254人を対象に、絵画鑑賞をしてもらい、その後、印象的だと思う箇所をマルで囲ってもらい、絵画についての感想を単語や文章で自由に記述してもらっています。

 

また、調査の対象となる中学生全員には、事前に自閉症スペクトラム指数の調査というものをしており、全員のASDの傾向の強弱についてもデータをとっています。

 

そのデータも活用し、ASDの傾向が強い、弱い層に分類した上で、この論文の研究結果を出しています

 

 

この絵画作品の解説

まず、研究結果を見る前に、このブログを見ている皆さんはどのように感じたでしょうか?

 

どのように感じたのか?印象的だったのかについては、コメントいただければ、嬉しいです

 

 

 

 

では、この作品の解説をしたあとに結果を伝えていきます

 

 

 

 

この絵画の作品名は『女占い師』といいます。

 

画面左から3番目の男性がその他4人の女性に騙されそうな状況が描かれています

 

1番右にいる占い師の女性が男性の気を引き、残りの3人の女性がお互いに目配せをして男性のポケットから何かを盗もうとしたり、金のチェーンを切ろうとしたりしており、登場人物の行動や視線の細かいやりとりが印象的な作品となっています。

 

 

つまり、この緊迫した空間で、騙す人間と騙される人間の心理的なやりとりを人物の視線や動きから読み取ることができる作品となっています。

 

この作品の意図を知った上で、調査結果を見てみましょう

 

 

 

 

調査結果

 

まず、ASDの傾向が弱い層、つまり定型発達に近い人たちの結果として、

 

・この作品の印象を文章で書いた時に、「盗む」という単語が8回出てきた

 

・「怖い・恐い」が12回。「冷たい」が7回。「怒る」が3回と、ネガティブな情動を 示す単語がより多く出現していた

 

・「雰囲気」「感じ」といった曖昧な表現も多かったということです。

 

 

つまり、ASDの傾向が弱い人ほど、絵画中の人物の手の動きや視線の動きなど、絵画の中の全体的なダイナミズムを捉えていた。特に、印象的な所をマルつけしてもらうという指示では、目に注目している人が多かったとのことです。

 

 

一方で、ASDの傾向が強い人ほど、この絵画を「動きがない」と評価していました。また、出てきた単語としては、

 

・「盗む」という単語が14回、

 

・「金」「金持ち」「取る」という単語がそれぞれ4

 

・「恐い」「怖い」「恐ろしい」という単語が8回のみ

 

・「色」「手」「顔」「人物」という単語を書いており、

 

つまり、全体の雰囲気よりは客観的な場面や行動自体に注目していることが多いとのことでした。また、マルをつけてもらう指示では、目よりは、手などに注目している人が多かったとのことです。

 

 

 

なぜこのような結果となったのか?

 

ここからは、私がASDの障害特性を軸にした、私なりの考えも合わせて述べていきます。

 

まず、定型発達に近い層は、絵画の人物同士の視線のやり取りなどを読み取り、人物の感情やその場の雰囲気を感じ取ったために、この絵に対してネガティブな印象を持ったという結果も出ています。

 

 

一方でASDの傾向が強い人たちは、他者の視線に注目し他者の心的状態を読み取るのが苦手であるという特性から怪しげな視線のやりとりや不穏な雰囲気をあまり読み取ることができず、比較的に悪い印象を受けなかったという結果も出ています。

 

 

この調査結果からASDの人は、他者の目線、視線というのに、強く注目をしていないということが分かりますね。

 

 

それよりは、顔のパーツであれば、鼻や口、または手や相手の動きというものに注目することが多いです。

 

目を見ないというのもそうですが、目というよりは視線を感じない。というのが正しいと思います。

 

つまりは、相手の心情を読み取ろうとするといったアクションが比較的少ないということです。

 

それよりは、手の動き、すなわち、目で見た行動そのものに対して、注目が向きやすいということが分かると思います。

 

 

だから、ASDの支援で多くの方が実践しているのが、応用行動分析学という、実際の行動から行動の機能を探るという学問が今日でも使われているというのです。そしてエビデンスを重ねてきているということなのです。

 

 

なので、ASDの支援でまず考えていかなければいけないのは、その子の行動を見ることではないでしょうか?

 

その子が支援者のことをこういう風に思っているから、そういう気持ちがあるといった、目に見えない気持ちの部分を探るよりは、実際に現れた行動からアプローチしていく方が、より質の高いASDの支援といえるのではないでしょうか?

 

今回のこの研究から、ASDの方はどのような見方をするのか、というのが少しわかってきたと思います。こういった見方をするということを参考に今後も支援に生かしてみてください

 

最後に、今回は一つの研究であり、いわゆる傾向です。全員が同じところに注目するのではなく、やはりASDの特性が関係し、注目する部分というのは異なりますが、それでも同じような結果になることは予測されます。

 

まずは、分かる所から一つずつクリアしていくという、そういった前向きな気持ちも重要だと思います。

工夫は大切、そして絶対に必要

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こんにちは、あろえです。

 

支援についての話ですが、その前に愚痴です。

 

はてなブログを書いていて、途中で他のプラウザを開き、間違ってはてなブログのタブも閉じると、書いていた記事がなくなってしまうんですよね

 

これ、とても困ります

 

 

すごくブログの更新が嫌になりましたが、ここで一つ工夫をしました

 

 

それは、メモアプリを経由して記事を書くということです。

 

 

どういうことか。

 

つまり、今回の問題というのは

 

はてなブログは、勝手に途中保存しないということであります。

 

しかし、今回のこの失敗により、それがわかったというのは大きな収穫です。

 

そして、その失敗を生かし、次はどのように工夫をするのかが大事です。

 

今回の場合は、メモアプリを経由したというのが工夫となります

 

そして解決をしました

 

 

ながくなりましたが、

 

工夫というのはとても大事です。

 

ASDの支援に限らず、日常生活においても、仕事においても

 

 

この工夫というのは、アイディア、発想力、行動力、経験によって

 

成り立つものだと思います。

 

 

ASDの支援においては特に工夫というのが求められます。

 

そしてその工夫した支援が実は、構造化支援や専門的な支援と同レベルであるということもあります。

 

工夫をするというのは、定型発達の人でも普通に必要です。

 

しかし、ASDの方というのは、もっと工夫したものが求められます。

それにより、生活の質というのは大きく変化するでしょう。

 

この記事を見ましたら、

まずは、一つの工夫から初めて見ましょう

 

 

それが支援の大きな第一歩となります。

 

 

ASDの支援についての具体的な工夫については、小出しで色々と発信していきます。がんばります。ではでは

 

 

 

ASDの子がNHK系の子ども番組が好きな理由

 

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こんにちは、あろえです。

 

私が勤務している事業所のお子さんは、ほとんどがNHK系の子供番組や歌が大好きです。

 

でも時々考えます。何でNHK系が好きなんだろうか?

 

別に仮面ライダーとかに偏ってもいいじゃないか。などなど考えています。

 

では、今回の記事では、なぜASDの子がNHK系の子供番組や歌が好きなのか分析した結果を記事にしていきますので、肩の力を抜いて見てみてください

 

※NHKやEテレなどの子ども番組や、子ども向けの音楽を総称してNHK系と呼ばせていただきますのでご了承ください。

 

 

目次

 

 

始めに結論

今回の記事については、障害特性の視点もそうですが、私の主観も入っているので、信憑性は薄いかもしれませんが、それでもASDの子を見てきた指導員という立場で述べていきたと思います。

 

では、なぜなのか。以下に挙げられるかなと思います。

 

①経験値や記憶の特性が影響しているから

 

②中毒性のある独特なリズムや音が影響しているから

 

③キャラクターのインパクトが影響しているから 

 

 

では順番に解説していきたいと思います。

 

 

①経験値や記憶の特性が影響しているから

 

まず、これが1番大きく影響しているのではないかと思い、始めに書きました。

 

経験値や記憶の特性、つまりどういうことかと言いますと、

 

皆さんの家にはテレビはありますか?

 

ある。と答える人がほとんどだと思います。

 

では、小さい頃、家で何のテレビを見ていましたか?

 

統計をとっていないので分かりませんが、ほとんどの人がNHK系のテレビを見ていたと思います。

 

そうです。

 

NHK系のテレビ番組というのは、子どもなら誰もが通る道ではないでしょうか?

 

障害のあるなしに関わらず、誰もが一度以上は視聴した経験はあると思います。

 

そして考えていかなければならないのは、定形発達の子は、NHK系を見ながらも、その他の遊びやテレビに興味関心を持つようになり、自然とNHK系から離れていくでしょう。

 

一方で、ASDのお子さんなどはどうでしょうか?

 

これは家庭の事情により大きく異なりますが、同様にNHK系のテレビを視聴するという経験を持っていたと思いますが、その障害特性上、他者からの働きかけがあることで、初めて様々な遊びやテレビに興味が移っていくものだと思います。

 

ASDの障害特性として、自身で発展されることや応用することは苦手であります。

 

ですから、NHK系のテレビを付けて、それに集中していた場合、小さい頃の育児というのは誰でもそうですが、子どもが何かに集中しているという状態は、保護者さんにとってはとてもありがたいことだと思います。

 

その間に溜まっていた家事から何やらを終わらすことができるのですから、、、、、

 

 

そうこうしている内に、ASDのお子さんはNHK系に夢中。そして気付けば時が立ち、未だに視聴していることに気が付くでしょう。

 

ASDの障害特性上、過去の経験値が優先されて行動に左右される傾向があります。

 

ですから、視聴経験した分、成長しても経験が優先され、それが習慣となり視聴をしつづけるのです。

 

視聴することが当たり前という状態になるということですね。

 

この状態をどう捉えるのかは、ご家庭の考え方によりますので、否定も肯定もするべきではありません。

 

②中毒性のある独特なリズムや音が影響しているから

 

これは、視聴し続ける原因として考えればいいのかなと思っています

 

NHK系のDVDは仕事の関係上、私もよく見ていますが、結構独特なリズムや耳に残るような音楽が多いですよね。

 

そしてそういった音楽に合わせて口ずさんだり、踊ったりと、

 

なかなかの、魔力かなと思いますね。そういった大人でも感じるような独特な中毒性のあるリズムが視聴し続けてしまうきっかけになるのかなと思います。 

 

③キャラクターのインパクトが影響しているから

 

これはビジュアルの面での中毒性です。

 

私が個人的にインパクトがあると思ったのが、おしり探偵です。

 

あれはびっくりしました。子どもの心を上手く突いたキャラクターですよ

 

あれ、おしりですよ。

おしり

 

おしりとかって、子ども好きですよね。

それが喋るんですよ

 

そして声も何か気持ちい声というか、しっかりした声というか。

 

すごい戦略だと思います。

 

やはりインパクトというのは大事ですよね。

 

そういった視覚や聴覚を刺激するような、独特な物が全ての子どもに影響を与えたという風に考え、そして視聴し続ける原因というのは、障害特性が影響しているという考えです。

 

 

 

 

 

 

 

 

言葉で注意する前に環境を整えることから始めよう

 

こんにちは、あろえです。

今回はASDの子が生活しやすい環境設定についての内容です

 

目次

 

 

環境設定の重要性

 

皆さんはASDの子を支援する上で、環境の調整を意識しているでしょうか?

 

支援者も人間なので、子どもの行動に対してついつい言葉で注意をしがちですが、その前に子どもが注意をされるような環境の中で生活をさせているということを考えていかなければなりません

 

環境設定が適切であれば、子どもは注意をされないわけですし、言葉で介入されることで失敗体験として捉えられることがありますので、なるべく注意されないような環境を支援者が設定しなければいけないということなのです。

 

 

環境設定の考え方

 

ここでいう環境設定というのは、「自分で気付き、行動するための環境」ということです。これに限ります。

 

そして、この環境を設定する上で、支援者は子の障害特性やその子に合わせた環境を作るためのアイデアが要求されます。

以下ではそのアイデアについて、ヒントとなるような例を挙げていきますので、ぜひとも参考にしてみてください

 

 

環境設定の例

●学校の廊下を走る子に対して「こら!走るな」

 ↓

改善例

○廊下に貼り紙を貼る

○走りにくい環境にするため、あえてパーティションのような何かしらの障害物を廊下に置く

 

●学校や家で、机の上など登ると危険と思われる所に登る。「登るな!」

 ↓

改善例

○物をわざと置く、途中の踏み台になるような物を撤去し、登りにくい環境にする。

○安全面を十分に考慮し、あえて登っても良い場所を作る。

 

 

●部屋で一緒に遊んでいる兄弟を叩く、他の子どもを叩く「叩いてはいけません!」

 ↓

改善例

○遊ぶ場所、内容、時間を分ける

○遊ぶ順番を教える

○叩いても良い物を教える(クッションなど)

※この場合は叩くことについての原因をアセスメントすることも重要となる

 

 

●玉が入ったおもちゃの銃を人に向けて撃つ「人に向けない!」

 ↓

改善例

○当てても良い的を設置する、射撃場みたいなのを作る

○人に打った時の「痛い!やめて!」という相手からの反応を獲得することが要因であれば、玉は撤去、もしくは全然痛くない玉を使ってもらう

 

●学童や放課後デイでコロナ対策のため、子ども同士を一定距離に保つ「離れて離れて!」

 ↓

改善例

○パーティションを設置する。その中で遊ぶことを教える

○部屋を分ける

○スケジュールの活用、自分の活動、今日の行動、役割を視覚的に伝える

○自然と一定の距離を保てる活動をこちらが教える。本を読む。勉強する。ゲームをする。体を動かしたいのであれば、テニスやバドミントン(きびしいか)

○これについては、子ども同士の性格やその場の環境などの制限もあり、かなりの工夫が必要。非常に厳しい。分かってください政府の人たち。

 

 

 

 

 

 

 

言葉による注意だけでは根本的な解決にならない2つの理由

 

こんにちは、あろえです

 

目次

 

 

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言葉による注意をしても解決にはならない

日々、ASDのお子さんと関わるときに、その子が不適応な行動を起こした際、支援者としては声を掛けて注意をするという場面が発生すると思います。

 

今回、この言葉による注意の仕方についてがテーマとなります。

 

 

まず、はっきりと伝えたいのが言葉による注意をしても根本的な解決にならないということです。

 

理由としては、以下の通りとなります

 

①ASDの受容コミュニケーションの特性を考えると、言葉だけの注意では、確実に伝わるとは言い切れない。

 

②言葉だけの注意では、相手を注意するというよりは萎縮させてしまう

 

 

順番に解説していきます

 

①受容コミュニケーションから考える

この部分については、障害特性の個人差がありますので一概には言えませんが、 言葉だけでの注意だけでは、支援者の言ったことを完全には理解することが困難であると思います

 

ASDの方で受容コミュニケーションの特性が色濃く出ている方の中には、聴覚情報よりも視覚情報の方が処理をしやすかったり、視覚情報の中でも、イラストタイプのような情報や実物の写真を見て初めて理解できるような方もいらっしゃいます

 

また、言葉を字義通りに解釈してしまう方もいます

 

例えば、「何で言うことが聞けないんだ!外に行って頭を冷やしてこい!」

なんていう注意をしたとしたら、通常であれば、誰もいないところに行って自分の行動を振り返り反省するという行動をとるかもしれません。

 

一方でASDの方の場合であれば、外に行ったら何か冷たいものを探して、本当に頭を冷やしているかもしれませんね。

 

といったように、字義通り解釈するという特性の強いお子さんに対しては、言葉による注意をしたとしても、言葉の使い方についても気をつけていかなければならないということなのです

 

受容コミュニケーションの特性から考えられることとして、支援者の話し方一つでも、相手の表情や雰囲気というのをうまく掴むことができない場合があります。

 

仮に優しく注意をしたとしても、表情が無愛想であると、本人にとっては「怒られた」という解釈をされる可能性があります。それにより、本人も混乱しこちらの伝えたいことも伝わらなくなるかもしれません

このように受容コミニケーションという特性一つから考えても、言葉による注意だけというのはメリットが少ないというのが分かりました。では、次の理由です。

 

②相手を萎縮させてしまうということ

 

上述したとおり、注意するということは状況によっては、ASDのお子さんには全然伝わらなくなります。そして、伝え方によっては萎縮もさせてしまいます

 

萎縮させるというのは、つまりは気持ちが萎えてしまうこと。相手に怯んでしまうこと。本来の力が発揮できなくなるということです。

 

ASDの子を支援する上で、マンパワーの状態を作ってしまうのは支援として望ましくありませn。ですから萎縮というのは支援にはならないということなのです。

 

そして考えていくことは、支援者というのは基本的に立場の強い人です。支援者が萎縮をさせるというのは結構簡単なことです。その萎縮をさせた状態というのはどうなるのか。

 

その場では、萎縮をしているので、子どもは支援者の言うことを聞きます。

しかし、萎縮をさせていた支援者がいなくなると、萎縮をさせていた分の時間と割合に比例し、反動はでかくなるでしょう。

 

他の支援者には止められなくなります。しかしその支援者がいれば行動は抑制されます。

 

どうすれば良いのか?

 

そのような状態が続けばどうなるのでしょうか?

 

その強い支援者がいないと成り立たない。その人がいないと支援としてさらに成り立たない

 

支援というのはチームで行うのが基本です。

 

指導員という立場の人だけでなく、業種を超えてチームで支援を行いますが、萎縮させることによりそれが成り立ちません。一見成り立っているようですが全然ですね。

 

言葉による注意、または話し方というのは、ひとそれぞれ特徴があります。強く言える人もいれば、そうでない人もいる。

 

なので、以上のように言葉による注意だけではなく、支援者皆んなが同じレベルで使用できる支援ツールを同じ仕組み、同じ手順で用いることで初めて支援は成り立ちます。

 

同じ支援とすることで初めてその子の評価をすることができ、改善し、再度支援を行う。この繰り返しで支援は成り立っているので、その中に言葉が入ることで、その人しかできない特別なステージに入ってしまい、支援というのは遅れることになります。

 

 

言葉ではなく、適切な支援ツールで。

 

注意よりは支援ツールで提案をしてみよう。

 

 

 

 

 

 

 

ASDの子に対する行動でイライラしてしまう要因と考え方

目次

 

 

先日のツイート

先日、私はこのようなツイートをしています

 

情報収集のため、日々Twitterを覗いていますが、ASDのお子さんを毎日支援をしている保護者さんたちのTwitterには、助けとも呼べるようなツイートが数多く投稿されています。

 

その中でも、「子どもが〇〇できなくてイライラしてしまう」とったような内容を見ると、日々頑張っている保護者さんたちの様々な思いが込められており、私としても何とかしてあげたいという気持ちになってしまうほど、心を動かされているような状況です。

 

しかし一方で、このイライラの原因は何なのか?

というのも考えさせられます。

 

なぜイライラしてしまうのか?

子どもが自分の思い通りに行かないからなのか?

 

そういった考えもあるかもしれませんが、私としてはイライラしてしまう根本的な原因というのはツイートした通り、

①その子に対する期待

②ASDに対する知識不足

③その子に対する特性理解の不足

 

であると思っています。

 

というよりも、このような考えをすることで、支援者としてはより一層客観的に物事を見られるようになり、質の高い支援になっていくのではないでしょうか?

 

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といった私の考えのもと、今回はこのツイートについて深掘しますので、順番に見ていきましょう。

 

 

①その子に対する期待

 これは、ASDうんぬんではなく、人間誰しもの怒りの原因はこれだと言われています

 

怒りというのは、期待の裏返しです。

 

これができるようになってほしい

 

前できていたから、これからもできるだろう

 

といった、自身の中で考えている期待が思い通りに行かないと、それが怒りに変わるのです。

 

 

なので、もしも怒ってばかりだなと自分で感じるようになったら、まずは相手に対する期待のハードルを下げましょう

 

いきなり期待をしないというのは、またそれは別の話であるので、まずは期待するハードルを下げるという考えからはじめてみてください

 

 

②ASDに対する知識不足

 

これも重要です。

 

ASDのお子さんは、確かに人ではありますが、しかし何かしらの障害を抱えているわけです

 

たとえ、表面上、会話もたくさんできて相手の話を理解し行動できているようなASDのお子さんがいたとしても、例えばASDの受容コミニュケーションの特性として、

「字義通りに解釈する」

「うまく関連付けができていない」

 

といったものがあります。

例えば字義通りに解釈というのはそのままで、言葉そのままで解釈をしているということであり、日本人独特のお世辞や社交辞令も処理が難しいということなのです。

 

「また今度遊ぼうね」

といった言葉があった場合、

普通であれば、お互いに都合のつく日があれば連絡を取り合い、よければ遊ぶといったニュアンスですが、

ASDの方の場合、「また今度」という言葉が気になり、いつ遊ぶのか?を再度確認し具体的な日程を設定するといった行動を起こすかもしれません

 

 

こういったようにASDの障害特性は様々あり、それら特性が色濃く見られるからこそ、社会的な生きにくさというものが出てくるのです。

 

それら特性を理解することで、なぜその子がそのような行動を起こしたのかが、納得することができます。そうなると、見方は全然変わるでしょう

 

ASDの特性に対する知識がないだけで、自分の今までの経験だけでしか判断がすることができず、「嫌いなんだ」「反抗期だから」「飽きたから」といった真の意図というのはわからなくなりますので、この部分も大事であります

 

 

③その子の障害特性に対する理解の不足

 

②のASDの知識不足に関連し、その子自身のことについての理解となります

 

ASDの障害特性について触れましたが、全てがみんな同じような障害特性を持っているわけではありません

 

複数の障害特性にもそれぞれ、強弱があり、それらが複合的に混ざりあい、その子自身の特性というものが出てくるのです。

 

ですので、「この子はASDだからこうだよね」といったようにASDのくくりとして断定的に決め付ける人がいますが、それは間違っています。

 

正解は「そういった特性を持っている人もいるが、あまり見られない人もいる」

なのです。

 

そもそもスペクトラムという意味を考えてください。

 

スペクトラムというのは、連続体 ということです。

つまりは、障害の特性が連続的に見られているということなので、0か10ではなく、0〜10のどれか。ということなのです。

 

なので、ASDの障害特性を知った上で、その子自身は何が得意で何が不得意なのか、というのを把握していきましょう

 

それにより、その子に対する期待値というのも考え直せると思います。結果として支援者自身の支援中のイライラというのは減少することでしょう。

 

今回は以上です。追加の説明が必要でしたらお知らせください。

 

今回のブログ記事をYouTubeでも情報発信しております

https://youtu.be/aXTYqPA9nxo

 

 

 

障害特性から見たマスクを装着できない考えられる要因4選

 

 

流行ってますね

今の日本で一番の関心事はコロナウイルスではないでしょうか?

そして必要なのがマスク

どんな人でも予防のために必要なものとなっています

 

しかし、ASDのお子さんで、マスクが装着できない子はたくさんいらっしゃいます

私が勤めている事業所でも、そのようなお子さんはたくさんいますが、無理やりマスクを装着させようといったことはさせていません。もちろん職員はマスクを装着していますが。

(でも在庫が少ないんです)

 

なぜマスクをつけられないか考えたことはありますか?

みなさんは、普段マスクを装着することはありますか?また、ASDのお子さんはマスクを普段からマスクを装着することはありますか?

大抵の場合は、普段はマスクをせず生活をしていることだと思います

マスクというのは、今回のコロナのように季節性のある支援であるため、その情報が薄いために装着できないということに対して、「あ、嫌いなんだね」といったような短絡的な理由になりやすいのです。

しかし、ただ単に嫌い、または経験がないから、怖いイメージがあるから、といったように主観的な評価により、装着を諦めるよりは、ASDの障害特性という客観的なエビデンスに基づいた分析をすることの方が、その子をより深く理解できるのではないかと思います

 

私はTwitterでこのような投稿をしました

 

この投稿をベースに、これから順番にマスクを装着できない要因等について解説していきたいと思います。

 

①感覚的な特異性(触覚刺激によるもの)

これは、なんとなく想像がつくのかなと思います。

つまりは、触覚的な感覚が鋭敏なために、マスクという今まで付けていなかった口元に装着された物体に違和感を感じ、外してしまうということです。

 

帽子やメガネといったものを装着できない場合には、この要因も可能性があります。

 

こういった特性により、マスクの装着ができないのであれば、難しさはあると思います

それでも、装着してほしいという思いがあるのであれば、例えば、マスクの素材を変えてみるといったアイデアがあります

今の時代、詳しくはありませんが様々な種類の素材のマスクがあると思います

それを一つずつ試してみてこれだったらつけられるというものを探してみるのもいいかもしれません

 

②同一性を保持するため

いつも同じが得意な彼らにとって、一時的に装着させられたマスクという物体は、いつもと違うことになるのです。混乱しますね

 

同一性の保持の欲求が強く見られるお子さんにとって、マスクを装着するということは、大きな変更となります。

我々だって、いきなり大きな変更があった場合には驚いたり、対応が難しいと思ったりしますよね。

 

たかがマスクの装着ではありますが、ASDのお子さんにとっては大きな変化となりますので、そういった思いであることを理解してあげることが大切です。

 

では、そういった特性がみられても、マスクを装着しなければいけない場合にはどうすればよいのでしょうか。

 

一つの方法としては、本人さんのスケジュールを活用し、前段階から「マスク」というスケジュールを変更カードで伝えておくのも良いでしょう

もっと言えば、1週間のカレンダー、または1ヶ月のカレンダーにも「変更」を強調した変更カードと「マスク」を示したイラストカードで、その日に装着をするというのを事前に予測してあげることです。

 

これにより、少しは、いきなり装着されたという不安感は薄くなるとは思います。なるべく声掛けだけで変更を知らせるのはやめましょう。そもそもマスクというものが何なのか分からない場合には、よけい混乱するかもしれません

 

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マスク装着のイラスト例

③関係理解の困難さ

ASDのお子さんによっては、そもそも、なんでマスクをつけるの?という事を理解できないこともあるでしょう

 

マスクは風邪を予防することができる。風邪は冬に流行る。だから冬になったらマスクをつける。この関連付けが難しい方もいらっしゃいます。我々は当たり前のように分かっていますが、こういった障害特性の影響というのも少なからずいると思います

 

この特性を考えられるお子さんは、少し会話等ができるようなお子さんが対象なのでしょうか?

であれば、例えば、イラストやコミックストーリーなどを用いて、視覚的になぜマスクをつけなければいけないのか、というのを学習できる機会を設けることも大切です。

学習の仕方については、その子にとって、様々な工夫ができるような気がします。ここはアイデアも必要ですね

 

④般化の特性

例えば、学校ではマスクをつけられるけど、外ではマスクを付けられない。ということもあります。これは般化の特性が影響しているものと思います。

 

一つのことで学習したことを応用できないというのです。

何かしらの理由により、マスクが装着できなかった子が、学校での支援により、マスクを装着できるようになった。しかし、それを外出する時には応用できない。

般化の特性が強く影響すれば、このようなパターンもあり得ます。

 

ここで大事なのは、この般化の特性が強く出ているのであれば、支援ツールに工夫をしましょう。学校で使用した支援ツールは他でも応用できるように同じ仕組みとすることで、どこでも誰でも同じように支援することが可能です。

こういった工夫が求められます。

 

以上です。眠いせいか、説明が不足しているところもあるかもしれませんが、もしありましたら教えていただければ幸いです。

 

マスク一つの予防法です。特性を見て本人に適した要因を探ってみてください。

 

 

noteを作成しました

noteでは、ブログの情報をベースにnoteオリジナルの情報を発信しておりますので、ぜひとも見てください。

リンクを貼っておきます。

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両者の情報更新も可能な限り頑張っていきたいと思います。

 

情報に流されやすい子のスケジュール改善

 

スケジュールの提供は基本中の基本

ASDのお子さんを支援する上で基本となる支援ツールはスケジュール表です

スケジュール表には、予定の説明ももちろんですが、最大の役割は活動の変更を視覚的に説明することです。

言葉だけでのやりとりで、「今から〇〇に行くね」といった伝え方で伝わる子はいますが、障害の特性の程度により、例えば一見わかっているように見えて、全然分かっていない子もいます

 

そういった言葉でのやりとりではなく、目で見て理解することが得意なASDのお子さんには、絵やイラストなどを使って説明することが効果的です

 

そして、そのスケジュール表を確認し、次に自分が何をすれば良いのかが分かることで、安心感は段違いに変わることでしょう

 

このスケジュール表が軸となり、様々な支援が発展されます。つまりはスケジュール表は基本中の基本であり、支援の根幹ともいえます

 

その子によって変わるスケジュール表

一概にスケジュール表といっても、スケジュール表のタイプは様々です

 

基本のスケジュールタイプは、

ワンデイ

上から下へ

終了した活動は下に設置されたフィニッシュボックスへ入れて次の活動へ

 

イメージ(拾い画です)

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基本はと言ってしまいましたが、新規利用児童を受け入れるときはこのスケジュール表をベースに作成しています。

 

そして、実際に支援を行い、本人と適していなければ、少しずつ改善し、また再度支援を行い確認をしていきます。この繰り返しです。

 

フィニッシュボックスの重要性

上のイメージ画像には写っていませんが、今回の話でキーポイントはフィニッシュボックスです。

フィニッシュボックスというのは、そのスケジュールが終わった際に、入れるボックスのことです。ボックスといっても、そんな高いものではなく、100円ショップに置いてあるような箱です。それを穴開けたり、フックを引っ掛けたりして作成しています

 

スケジュールで提示している活動が終了したら、いつまでも提示したままはやめましょう。

目で見て理解することが得意な本人さん達なのに、ずっと終了した活動のスケジュールカードが貼り付けてあるのは混乱の元でしょう

終わったらすぐになくしましょう、そのためには箱が必要です。だからフィニッシュボックスがあるのです。

基本形のスケジュールでは、フィニッシュボックスは1個です。スケジュール表の下に設置します。

一番上の活動を始めるため、スケジュール表からカードを一枚とります。

取ったカードを手に持ち目的の場所まで移動します。

 

目的の活動が終わり、再度カードを手に持ちスケジュール表に戻ります

フィニッシュボックスにカードを入れ、スケジュール表から次のカードを手に取ります。

これが基本的なスケジュールの流れです

 

情報に流されやすい子のスケジュールを改善

カードを手に持って目的の場所まで移動しましたが、活動が終わりスケジュール表へ戻るときに、気になる音が聞こえてきました。

スケジュール表が置いてある場所に向かわず別の方向へ走って向かい、職員へ注意されスケジュール表に戻りました。あれ?何かが足りません。そうです、スケジュールカードです

 

スケジュールカードを手に持つというのは、ワーキングメモリーが乏しい子にとって、手に持ったカードが唯一の情報源です。それにより目的のエリアへ向かえるのです。お子さんによっては、カードを手に持って移動することは絶対的に必要でしょう。彼もそのうちの一人です

 

かなりの頻度でスケジュールカードを目的の場所へ忘れてきてしまいます。

でも、目的の場所へ行くためにはカードを手に持つことは不可欠です

どうすればよいでしょうか

 

方法の一つとしては、各エリアにフィニッシュボックスを設けることです。

それにより、カードを持ち忘れ、支援者へ介入されるという手順がなくなります。これにより、支援者にとってもそして本人にとってもストレスがなくなります。

 

スケジュール表は軸となる場所であるため、活動が終わったらスケジュール表に行き確認するという流れが習慣化されやすいです。

なので、活動したエリア→スケジュール表における、スケジュールカードというのは、今回の場合は不要でした。

しかし、それでも目的からあまりにも逸れる行動が多い場合には、また考えないといけません。これの繰り返しです

 

 

今回は比較的、簡単なケースです。フィニッシュボックスには、ただの箱という考えだけではなく、中身が見えるor見えない、カードを入れる口を広くするorあえて狭くする、といったように工夫があってこそ支援であります。こういった細かいことに気付き実行できる人は少ないですし、やるべきだと私は断言します

 

スケジュール表はスケジュールの土台、カード、フィニッシュボックス、手続きの流れ、介入の仕方、全てが合わさって、やっと一つのスケジュールとなるでしょう。一つの支援ツールでも考えることはたくさんですね。そして、実践して改善を行い、再度実践する。これの繰り返しです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コロナウイルスによる放課後等デイサービスの対応について

 

 

お久しぶりです

 

あろえです

 

最近は、新築へ引っ越しや仕事等で色々とやることがありまして、ブログの更新を全然していませんでした

 

ブログ作成環境については、今まではスマホ一つで頑張っていました。

もともと、パソコンは所持しておらず色々と不便はありましたが、やはり指が痛いです。

 

そのため、12月末の引っ越しを機会に新築にWi-Fiを開通させ、そしてネット環境を整備しています。現時点では、Wi-Fiの開通は完全ではなく、開通するまでの間のつなぎとしてポケットWi-Fiを使用しております。

また、機械についてはパソコンではなく、ipad pro を購入しました。

パソコンでも良かったのですが、色々と調べた結果、ipadでもブログを書けるというのを知ったからです。また、ipad proを所持しているのが、なんとなくカッコよく感じたからです

 

今後も、可能な限り皆さんに情報を伝えていけるように頑張りたいと思います

 

っということで、ここから本題へ入ります。

 

 

3月1日現在、安倍総理より全国一斉休校要請を受け、学校では様々な対応に追われていました。

学校の教職員の皆さんにとっては大きな変化となりましたが、同様に我々放課後等デイサービスの職員にとっても大きな変化になったと思います

 

私の事業所では、3月2日からの勤務体制が全て変更となり、日中8時間を全てサポートする体制となりました。それも3月末までです。

 

正直なところ、放デイの職員にとって(私の場合)、学校があり放課後事業所へ迎えて支援するという勤務体制時は、ある程度事務処理をする時間があるのです。

 

しかし、放課後等デイサービスが全国一斉臨時急行の受け皿となり、3月から春休み期間中まで、全面的にサポートをすることとなり、事務処理をする時間はなくなります。

 

どの業種もそうですが、放課後等デイサービスの職員にとっては、次年度の受け入れ態勢の準備や次年度の個別支援計画書作成に関わる準備等、何かと書類作成に追われている時期ではあります

 

なので、このような現状はなかなか厳しいものです

ただの不満ではありますが、こういった現状もあるということで、ブログへ書きました

 

さて、このような現状となり心配なのはウイルスの感染です

 

事業所の職員として何ができるのでしょうか?

 

管理者が中心となり事業所の受け入れ方針を決定し、その決定に沿って動いていくにあたり、やはり耳を傾けていかなければいけないのは保護者さんの声ですよね

 

今の時代、両親共働きというのはたくさんいらっしゃると思います

 

そういった状況でそれぞれの家庭事情等も出来る限り把握していかなければいけませんね

 

私の場合は支援の情報交換に加えてコロナの話題を出し、保護者さんの気持ちとともになり、そしてこの臨時休校の体制を批判します

 

 

我々放課後等デイサービスは受け皿となっているため、ニーズがある限り子どもたちは利用してきます。

 

もう一つ考えなければいけないのは事業所内の衛生面です

 

 

世間では、マスクやアルコール消毒、それにトイレットペーパーやティッシュまで品薄の状態となっています。

正直なところ、家庭それぞれで衛生品などを買い占めるのではなく、まず、誰が一番必要なのかを考えるべきだと思います

 

その中の一つに放課後等デイサービスが入っているわけであり、それを国が把握しておくべきなのです。

 

我々としても、物が品薄状態となっており、対応には苦戦しております。

 

あとは、正しい知識は不可欠です、

福祉従事者として携わるものとしてはこれは当たり前ですね。

 

マスクも多少は大事ではありますが、それよりも手洗い。

 

そしてASDの方を支援するにあたって手洗いの支援というのは少し難しいです。というよりも、こういった時だから手洗い支援を強化するのではなく、ASDの方の場合は普段から支援することが大事であります

 

いつも同じが得意である彼らにとっては、いきなり手洗いをしろなんて言われたら、拒否するのは当たり前ですよね

また、水の感覚を苦手or得意とする方がいますので、事前にそれを把握しておくことは大切ではあります

 

衛生品となると、アルコール消毒剤や手洗いポンプが置かれることになると思いますが、置き場所は適切かどうか?

彼らにとって衛生品がどの程度社会的に大事なのかというのは理解が困難な場合があります

 

特性が強ければ強いほどそれが顕著となるでしょう

 

もし衛生品を粗末に扱ってしまったら決して怒ってはいけません。 悪いのはそこに置いた支援者だと思います、そういった心積りで支援にのぞみましょう

 

 

 

様々なことで普段とは異なる雰囲気となっていますが、まずは、いつもの支援をベースに何を優先しなければいけないのかを冷静に判断し支援していきたいですね

 

 

久しぶりの記事は以上です。スマホよりも断然書きやすいので感動しています。

 

 

 

 

 

ASDの方の偏食は3つの要因から考える

 

 

今回の記事は昼食支援についてです。

 

ASDのお子さんで偏食のある方はいますでしょうか?

「残さず食べましょう」

なんていう、支援なんて今すぐやめましょう。

 

では、どういう支援をしていけばいいのか?

 

まず、結論として、

 

 

 

なぜ食べ物を残したのか、本人さんの根本的な障害特性の点から考えることが大切ということです。

 

 

 

では、説明します。

 

 

 

 

まず、食べ物を残す要因には、いくつかあります。

 

 

 

①味覚によるもの

②概念形成の乏しさによるもの

③記憶的な影響によるもの

 

以上の3つが考えられます。

 

 

①味覚によるもの

これは、単純に味の問題です。定型発達のお子さんの場合は、この理由がほとんどでしょう。

味覚には色々ありますよね。辛い、甘い、すっぱいなど。

ちなみに私はすっぱいのが苦手ですが。

 

 

では、ASDのお子さんはどうでしょう。

味覚が鋭い、もしくは極端に鈍い。方も多くいます。

つまりは、我々が思っている以上に正確な味覚を持っていない可能性が多いということなのです。

 

なので、残した=味覚という判断をすると、「我慢して食べなさい」という支援につながりやすく危険です。

 

普段の食事の状況を見て、本当に味覚が正確なのか、アセスメントをとっていかなければいけません。

 

 

次に

②概念形成の乏しさによるもの

 

これは、例えば、普段家では唐揚げを食べているけど、ローソンのカラアゲクンやスーパーの唐揚げだと食べられないというお子さんがいたとします。

 

概念形成が乏しいため、普段家で食べている唐揚げが本当の唐揚げであって、他の場所で売っている唐揚げは、色や形が違うと、本人の中でそれはもう「唐揚げではない、別の食べ物」になってしまっているのです。

 

唐揚げは一つの例ですが、他にも豚肉は食べるけど、カレーライスの中に入ってある豚肉が食べられないなど、こういう方もいらっしゃいます。

 

支援者にとって、本人たちのこういった考えはなかなか理解するのは難しいと思います。

 

 

③は、記憶的な影響によるものです。

 

これは、②の概念形成の乏しさについて、重なる部分もありますが、

 

以前、何かをきっかけに食べられなかった経験が蘇り、摂取を拒否するというものです。

 

 

これも、なかなか要因としては分かりにくいですが、例えば、食べる場所を変えることで、結果的に食べられるようになったのであれば、その可能性はあると思います。

 

 

 

これら3つの要因と、本人さんの障害特性と複合して、様々な角度から食事支援をしていってみてください。

 

 

実例があれば、教えてください。一緒に考えていきましょう。

 

 

 

 

注意の仕方を意識するだけでも行動は変化する

 

家庭や学校、福祉事業所の中で、子どもに注意する場面というのはあると思います。

 

例えば、教室に置いてあった教師用のオフィスチェアがあったとします。

 

休み時間に、そのオフィスチェアに子どもが乗って滑りながら遊んでいました。

 

そのような行動は当然望ましくありません。

他の子どもたちを怪我させる可能性もありますし、そもそも教師用なので、子どもが使用してはいけません。

 

そういった場面で、あなただったら何て注意をしますか?

 

 

「こら!イスに乗るんじゃない!今すぐやめなさい!」

 

そのような言葉は、応用行動分析学の観点から見れば、ナンセンスです。逆に今すぐそのような注意の仕方はやめましょう。

 

 

では、具体的にどのような注意をしていけばいいのか?

 

 

まず、先ほどの注意の仕方はどのような言葉を使っていますか?

 

全て否定形ですよね。

つまり、禁止を伝えているだけでは、子どもの望ましい行動を自発するのは難しくなります。

そして、禁止を伝えても、

「じゃあ、どうすればいいのか?」

が、全く伝わらないのです。伝え方が具体的ではないからです。

 

 

こういった考え方というのは、ASDの方だけと思われるかもしれませんが、定型発達の方にも対象となるというのを頭に入れといてください。

 

 

では、禁止を伝えてはいけないなら、どうすればよいか?

 

そう、具体的な行動を伝えていけば良いのです。

 

 

例えば、先ほどの例であれば、

 

 

 

「休み時間は外で遊びましょう。」(これでも具体的ではないので)

 

 

「この休み時間は、校庭でクラスの◯◯くんと一緒に鬼ごっこをしましょう」

といったように、

いつ、どこで、だれと、なにをする

 

というのを意識して説明しましょう。

 

 

 

こういった注意の仕方を意識するだけでも、少しは変化すると思いますので、是非とも試してみてください。

 

 

しかし、今回の記事は、これだけではありません。

 

上記の場面の例に対して、さらにアプローチできることがあります。

 

 

まず、オフィスチェアで子どもが遊んでいましたが、子どもの気持ちを考えれば、ゴーカートのように扱えるタイヤの乗り物に乗るのは楽しいものです。

 

それを常時置いてあり、遊んではいけないというのは、目の前にご飯があるのに食べるなといっているのと同じではないか。と、個人的には考えます。

 

 

であれば、オフィスチェアでなくて、普通の動かないイスに変えれば済む話です。

これは、構造化の考えでもあります。

 

「してはいけない」という前に、しないようにするための環境を整えるのも大切です。

 

 

 

注意の仕方も変えて、イスも変えたら、次のアプローチはなんでしょうか?

 

それは、具体的な遊び方を教えることです。

 

ASDの方で、一定の時間をうまくやりくりして活動することが苦手な方がいます。つまりは、「好きに遊んでいいよ」と言われるのが、一番の苦痛なのです。

 

好きに、と言われても、どのように遊べばいいのか、自分の頭の中で計画することが難しいので、

結果として、問題行動に発展してしまうのです。

 

だから、「好きに遊ぶ」のではなく、「◯◯して遊ぶ」という伝え方をすることで、逆に安心をします。

 

そういった考えをベースに、「休み時間は◯◯で遊びましょう」と伝えて、必要に応じて、遊び方も具体的に教えてあげることで、一つの支援として完結すると思います。

 

以上になります。今回は応用行動分析学に基づく考えでした。

 

 

自傷行為について考える

 

あろえです

 

今回は自傷行為について考えていきたいと思います

ASDのお子さんで自傷行為するお子さんはたくさんいらっしゃいます。そして、様々な行動をみせています

 

爪を噛んだり、かさぶたを剥がしたり、頭を叩いたり、頬を叩いたりなど、、、

 

そうした行動に対してどのように止めさせようかと、日々悩んでいる方はたくさんいると思います。

 

今回は、この自傷行為について、支援者としてどのようにアプローチをしていけばいいのか、私なりの考えを含めて、専門的な知見で述べていきたいと思います。

 

 

まず初めに、自傷行為に対して、皆さんはどのように考え、どう対処していきたいですか?

ほとんどの方は、自分を傷付けるのは見ていられない。すぐにでもやめてほしい。と、思うのではないでしょうか。

 

そして次に考えるのは、どうすれば自傷行為をやめるのかということです。

そして自傷行為をやめさせるために、「やめなさい」と叱りつけたり、行動を制止することでしょう。

 

 

こういった対応は、特に保護者さんならば、当たり前に取る行動だと思います。

しかし、それでは何の解決にもなりません。むしろ、さらに状況は悪化しているのではないでしょうか?

 

 

ではどうすればよいか?

先に結論を述べます。

 

①自傷行為をした要因を探る

②代替行動を教える

 

大きく、この2点を考えれば良いと思います。

 

 

では①の自傷行為をした要因を探るについて考えていきます。

 

本人さんの自傷行為について、ABC分析で考えてみてみましょう。

ABC分析とは、応用行動分析学における考え方の一つであり、ある行動を起点に、その前後の出来事を具体的にし、本人さんの行動の機能を探るということです。

 

例として、自分の頭を叩くという自傷行為があったとします。その行動の直前に何かの作業をやっていたとして、結果的に支援員に「落ち着きなさい!」と手を止められて、作業が中止したとします。

このような場合、頭を叩いた行動により、結果として、作業が中止になったので、作業に対する回避の機能というのも1つ考えることができますし、他者に対する注目の獲得を得られたという機能も考えられます。

 

このように直前の行動をまずは考えることで、意図をつかめるかもしれません。

 

 

次に②代替行動を教える。というのは、代わりの望ましい行動を教えるということです。

先ほどの例では、頭を叩くという、一般的によろしくない行動をしているから、怒られたり注意されたりという結果となるのです。

では、自分の頭を叩く代わりに、パンチングマシン(2000円ぐらいで売ってる赤と黒の棒状のやつ)を叩くという行動になるならどうでしょうか?

 

おそらく、周囲から何かしらの注意などはなくなると思います。

このように、叩くという行動についても、対象物、場所などを具体的にしてあげて、それを本人さんへ事前に説明し、自分ではない、代わりを教えてあげるというアプローチも必要であると考えます。

 

 

今回は一例ではありますが、この考え方をベースに、また、行動をなくすというよりは、行動を減らしていく。転換していく。という考え方を持つことで、支援者側もそして本人さんも楽になっていくのではないでしょうか?

 

行動には、必ず原因があります。

1つ1つ丁寧に支援し、長期的な目線で考えていきましょう。